Column

税理士・ITC 税務総務かわら版 2023年1月


<税務スケジュール>

法 人 関係 

 11月決算法人の確定申告

 〔法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・(法人事業所税)・法人住民税〕                                         

 5月決算法人の中間申告〔法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・法人住民税〕・・・・半期分

   申告期限・・・・1月31日(火)

消費税関係  

 2月・5月・8月・11月決算法人の3月ごとの期間短縮に係る確定申告〔消費税・地方消費税〕

 法人・個人事業者の1月ごとの期間短縮に係る確定申告〔消費税・地方消費税〕

 消費税の年税額が400万円超の2月・5月・8月決算法人3月ごとの中間申告〔消費税・地方消費税〕

 消費税の年税額が4800万円超の10月・11月決算法人を除く法人及び個人事業者の1月ごとの

 中間申告(9月決算法人は2カ月分)〔消費税・地方消費税〕                

 申告期限・・・・1月31日(火)

給与関係 

 12月分源泉所得税・住民税の特別徴収税額の納付  

 納期限・・・・・1月11日(水)

(※年2回納付の特例適用者は前年7月から12月までの徴収分を1月20日金曜までに納付

 給与支払報告書の提出(給与受給者の住所地)    

  期 限・・・・ 1月31日(火)       

 給与支払調書の提出・源泉票の交付 

  期 限・・・・ 1月31日(火)

 給与所得者の扶養控除等申告書の提出(所轄税務署長に提出ですが、現実は給与支払い者保管)

 本年最初の給与支払日の前日まで

その他     固定資産税の償却資産に関する申告   

 申告期限・・・1月31日(火)

 

税金の基礎知識「令和5年の税制改正大綱について」

今月は、税の今後の動きが分かる税制改正大綱について、まとめました 

その前に毎度毎度で恐縮ですが、岸田首相と財務省の批判にお付き合いください

この国はこれ以上経済成長しない、いやさせないと考えているのでしょうか?

 昨年の暮れから、防衛増税の話ばかりです。  景気というのは気分に左右されるものです  

今年からすぐに増税ではないとお茶を濁していますが、いずれ増税されるとなれば、企業は内部留保を優先し

賃上げなど考えられません。 特に中小零細企業では!

悪い円安(日経新聞が良く書いていました:笑)のおかげで

輸出関連企業が多い大企業は増益で、今年度の税収は過去最高です。  大企業は賃上げ出来るでしょうが

日本の企業の約97%は中小企業で、約3%が大企業です

ところが、その3%の大企業が約97%の法人税を支払っています=前の数値ですがおおむねあってると思います

おそらく岸田さん(財務省)には、中小企業など眼中にありません 

だから去年暮れに、来年は賃上げを目指すなどとトンチンカンなことが言えるのです

中小企業のサラリーマンは、給与は上がらず

税金だけでなく健康保険等の社会保障費の値上げとかで、苦しんでいます

そこに増税など考えられません。  過去の消費増税がいかに景気を悪化させたかは統計上明らかです

 防衛予算の増額は当然の流れですが、増税は最悪の選択です。  景気が良くなれば税収は自然に増えます

「将来世代につけを残さない」一見もっともな理由ですが、次の数字を見てください

「1990年代は-約120万で安定、2022年は-約77万」

「1990年代は-約80万で安定、2018年は-約59万、2021年は-約50万」

前半が子供出生数で、後半は婚姻数です。  アベノミクスで格差が拡大し、賃金が上がらず非正規雇用、

年収は全平均で約300万円(非正規では約200万円弱)が今の若者の実情です

日本人はすごく心配性ですし、情報過多です

賃金が上がる気がしない、教育がお金で買える時代でから、結婚して子供を作る気になれないのです

将来世代が生まれません!  将来世代が生まれないのでは先送りもできません  

コストプッシュ型インフレに惑わされてはいけません、日本はずーっとデフレです

景気回復が何よりも優先です!!異次元の国債発行をしても日本はビクともしません

財務省のホームページ(外国格付け会社宛意見書)に

「日・米など先進国の自国通貨建て国債のデフォルトは考えられない」

としっかり書いてあります。  国債が格下げされそうだと日本が破綻しないと発表しておいて

国民には日本は借金(国債)で財政破綻しそうだとアピール、財務省は日本をどうしたいのでしょうか? 

とにかく先月も書きましたが、国債は相続財産です。 将来世代へのツケではありません

黒田日銀総裁の続投を望みます

日銀は12月20日、長期金利の許容変動幅をこれまでの0%プラスマイナス「0.25%」から

同「0.5%」に拡大すると発表しました

 財務省の手先のごときマスコミは、「日銀が市場の圧力に屈して、長期金利の上昇圧力を抑え切れず

ついに実質的な利上げに踏み 切った」などと書きたてました。 でもこれは、日銀の言う通り利上げではありません

国債市場は、金融機関の「売り」に対して日銀の「買い」しかないので、相場が動かず、

ヘッジファンドの妙味もないので、日本国債への仕掛けはしばらくありませんでした。  

日銀には国債を50%超保有しないという暗黙のルールがあるそうで

そこを狙ったのか、一部のヘッジファンドが大量の「売り」を仕掛けてきました   

お札を刷れる日銀ですから国債を買 って空売りをはねのけました

ただ、その際10年物の国債がターゲットとなり

9年物の利回りより10年物の国債の利回りの方が安くなる逆転現象が生じました。それを調整しただけでした 

国と財務省は、何かにつけて色々なことを、日銀が悪いと言ってきました 

異次元の金融緩和が問題ないなどと、長引くデフレが日銀の施策の失敗などと、

訳の分からない話が横行していました、長引くデフレは間違いなく国と財務省の緊縮財政の責任です

金融緩和で景気を良くするアクセルを踏んでもプライマリーバランスの黒字化などと言って、

財政出動どころか消費増税で、景気回復のブレーキを踏まれて、黒田さんもなすすべがありません

おそらく次の日銀総裁は、財務省の言いなりの人間だと考えられます 

近づく統一地方選では、政党に関係なく、増税なぞ絶対あり得ないという議員を選びましょう

 

新年早々良い話でなくてすいません

以下税制改正大綱についてのまとめです

今後の方向性が見える、「令和5年度税制改正大綱」につきまして

主に個人と中小企業経営に関連するものだけを解説してみました

 <個人所得課税見直し> 

NISA恒久化及び拡充と一本化 (旧つみたてNISAは令和5年12月31日まで、新NISAは令和6年1月1日より)

〇積立期間について積立期間の制限を撤廃     

〇非課税限度額の増額

(1)従来のつみたてNISA(投資信託等)= 現行年間30万円 → 年間120万円まで

(2)従来の一般NISA(上場株式も可)= 現行年間120万円 →  年間240万円まで

(3)上限金額 = (1)+(2)の合計で最大元本1,800万円まで(そのうち成長投資枠は最大1,200万円まで)

所得倍増計画(最近は資産所得と言ってます:嘘つき)の一環のつもりなのでしょうが

投資で利益が出たら非課税ですから、絶対に利益が出る銘柄に投資する必要があります 

結局証券会社等にお任せと言うことになります。 それにそもそも、投資に回す余裕がある人は富裕層です   

退職金として受け取れるiDeCoは利用価値ありますが・・・・

超富裕層への課税強化

{(基準所得金額-3億3,000万円)×22.5% = 基準所得税額 }を所得税額に加算

基準所得金額 = 配当及び上場株式譲渡益の申告不要制度を適用しないで計算した合計所得金額

  数十円、数百円の値上げに苦しむ庶民には、全く無関係な課税強化です

不動産や株式についての分離課税の所得についての課税強化(令和7年度の所得税から適用)

特定中小会社株式投資の譲渡益からの控除

特定中小会社の株式取得代金を他のその年の株式等の譲渡益から控除可能に

特定中小会社とは → ・設立1年未満の中小事業者等 ・出資金額×30%<販管費

 ・特定の株主グループの持株割合が99%以下など

 またまた投資に関する税制です。説明は省略します

国民健康保険税の上限額引き上げ等

○後期高齢者支援金の課税限度額を22万円へ引き上げ(現行20万円)

○国民健康保険税の減額対象となる所得金額引き上げ

 ・5割軽減|被保険者の数×29万円(現行28.5万円)

 ・2割軽減|被保険者の数×53.5万円(現行52万円)

日本の国民負担率は5割を超えそうです(超えたかもしれません)諸外国に比べ低いなどと言われますが、

国の規模等により単純比較できませんが、負担率の高い国は日本より社会保障が充実安定しています 

さらに財務省が公表している国民負担率は、税金と社会保障を国民所得で割り出して算出しています 

この計算方法は日本独自の規格で、諸外国は対国内総生産(GDP)比から国民の税負担率を算出するのが一般

的で、この対GDP比からみた国民負担率の場合、日本は諸外国とほとんど変わらない水準となります 

一見すると日本は税負担の少ない国のようにみえますが、諸外国と同様の計算方法で割り出した場合、日本国

民が背負っている税金の負担割合は大きいということです。 これも財務省のプロパガンダの一種です    

江戸の百姓=農民は、武士の苛斂誅求の下に置かれ、収穫高の約5割を年貢として納めさせられていました 

『百姓は、生かさぬよう、殺さぬよう』(本佐録)とか、『胡麻の油と百姓は絞れば絞るほど 出るものなり』

(神尾春央)といわれていたそうです。岸田内閣と財務省は、国民を江戸時代の百姓と考えているとしか

思えません。悪代官を退治する水戸黄門は現れないのでしょうか!? 

こにきてさらに増税など考えられません。国民はもっと怒らないと!! 

源泉徴収票の提出方法変更 (令和9年1月1日以降提出すべき源泉徴収票から適用)

○市区町村に給与支払報告書を提出した場合には税務署にも源泉徴収票を提出したとみなす

○市区町村から税務署への給与データを通知するということ

 特に大きな支障はないので説明は省略します

 <資産課税>

相続時精算課税の拡充(令和6年1月1日以降の贈与から適用)

60歳以上の推定被相続人からの18歳以上の相続人への贈与について相続時精算課税の適用を受ける場合

→非課税限度額2,500万円とは別枠で年間110万円の控除が可能で

相続時の課税価格への加算は上記の控除をした残額のみとなります

=相続時精算課税を適用しながら暦年贈与が可能になります

生前贈与の相続財産加算期間延長 (令和6年1月1日以降の贈与から適用)

相続開始前7年以内(現行3年以内)の被相続人からの相続人(遺贈を含む)への贈与

→3年以内の贈与額全額+(4~7年の贈与額合計-100万円)を相続税の課税価格に加算

比較的裕福な祖父母・親の世代の貯えを、孫子に移転させて使わせ、その貯えを何とか把握しようとあの手こ

の手です。困っている子や孫に親・祖父母が援助するのに何で税が必要なのでしょう!? 

これ以上は文章にはしにくいので、個別相談してください

 <法人課税>

コインランドリー節税規制

コインランドリーと暗号資産マイニング用の機械装置で、その管理の概ね全部を他の者に委託する場合には

中小企業投資促進税制、中小企業経営強化税制の対象外となります

本業以外での節税商品ならば即時償却または税額控除は適用不可とされます

節税商売への足かせです。

 <消費税(インボイス制度)>

免税事業者への激変緩和措置

令和5年10月1日から令和8年9月30日までの日の属する課税期間で

適格請求書発行事業者になった免税事業者 →その課税期間の消費税の納税額を売上消費税×20%にします

何が何でもインボイス制度導入です。収入300万円程度の下請けさんが、元請けに命令されて課税事業者に、

とりあえず(300万円×10%)×20% = 6万円ですが、いずれ15万円(簡易課税を適用)です 

バカにならない金額です。インボイス導入反対!!!

10,000円未満インボイス不要特例

基準期間(2期間前)の課税売上高1億円以下または特定期間(前期の前半6ヶ月)の

課税売上高5,000万円以下であれば、

令和5年10月1日から令和11年9月30日までの課税仕入について

支払対価10,000円未満なら帳簿記載のみで仕入税額控除可(インボイス不要)

10,000円未満適格返還請求書不要特例

税込10,000円未満の売上返還(値引・返品)は、適格返還請求書の発行不要です

振込手数料相当額を控除して入金された場合、適格返還請求書の発行不要になります

インボイス制度を厳密に考えれば、振込手数料を差し引かれた場合値引きになるので、そのインボイスが必要

です。本当に面倒です。インボイス制度導入反対と言うか消費税廃止!!!

免税事業者の適格事業者登録期間短縮

免税事業者が課税期間の初日から適格請求書発行事業者の登録を希望する場合、

課税期間の初日から起算して15日前まで、(現行は初日の前日から1ヶ月前まで)

に登録申請書を提出します

令和5年10月1日後に適格請求書発行事業者登録をする場合には、

提出から15日以降の登録希望日を指定することになります

◎令和11年9月30日までの日の属する課税期間は「課税事業者選択届出書」の提出が無くとも

 適格請求書発行事業者への登録は可能

翌課税期間から適格請求書発行事業者取りやめの締め切り緩和

翌課税期間の初日から起算して15日前まで(現行は初日の前日から30日前まで)

に適格請求書発行事業者取りやめ届出書を提出すれば可能となります。導入の為には色々要件緩和です

 <その他>

電子帳簿保存法改正の例外措置(令和6年1月1日以降の電子データ取引について適用)

メールに添付されてきた請求書やWEB上での決済取引について本来は改ざん防止措置を講じた

電子データ」保存が必要ですが

売上高5,000万円以下(現行1,000万円以下)の事業者は税務調査でダウンロードに応じることを

条件に紙に印字しての保存も可能になりました

検索要件不要で、実質的に改正への対応不要になります

ITに詳しくない方には難しいですが

中小企業の場合、電子帳簿保存法についてはあまり神経質になる必要が無いということです

<参考>前年以前に決定し令和5年度より実施される改正

1.インボイス制度導入(令和5年10月1日以降の取引から)

昨年から何度も書いていますが、消費税の仕入税額控除には適格請求書(インボイス)が必要になりますので

インボイスの発行には適格請求書発行事業者への登録が必要となります

適格請求書発行事業者の登録ができるのは課税事業者のみだからです 

残念ながらいよいよ選択期限です

 2.住宅ローン控除の確定申告等手続き(令和5年1月1日以降居住の用に供したものから)

金融機関に住宅ローン控除申請書を提出すれば、契約書、借入金残高証明の添付不要に

税務署が書類を保管する手間を省くためです。電子申告すればもっといろいろ省略できます

3.隠蔽仮装、無申告への課税強化 

収入金額が300万円超で虚偽申告又は無申告の場合帳簿書類等で

取引が明らかなもの以外の後出しの必要経費算入を認めず

個人の調査って人手不足であまりないですが・・・・ 

4.財産債務調書制度の改定(令和5年分以降から適用)

所得はなくとも、その年の12月31日に財産10億円以上保有する居住者も対象者になりました

提出期限が翌年3月15日から6月30日へ延長されます

所得税確定申告の付き物という感覚でしたが・・・、

相続で逃さない為でしょうが、義務化すれば提出するか? という感じです

 

 

 

 

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